セックスレスを苦痛に感じる理由

上野千鶴子氏と大川玲子氏の対談。

んーむ。

上野さん…

五年前の文章に突っ込むのもなんかアレだけど。

上野 カップルに1カ月の間にセックスがなければ「セックスレス」なんて,そんなつまらないことをだれが決めたんでしょうね?

んー…。でもセックスレスはセックスレスでしょ。
と言うか、一ヶ月無きゃ「一ヶ月セックスレス」、一年無きゃ「一年セックスレス」って呼べばいいんじゃね?
あー、でも「一日セックスレス」とか「一時間セックスレス」とは言わないわけか。
まず、どれぐらいで欲求不満を感じるかって話だよね。逆にどれぐらい多ければストレスを感じるかってのも考えなきゃいけないけど。で、次に個人差をどうするか。こういうのは、平均とか数の多寡とかそういうもので考えるしか無いんじゃないのかなー。

Anno Job Log - セックスレスの定義」に詳しい事情が。

上野 したいのにできない人にとっては確かに問題ですね。でも,同じ状態でもそれを問題だと思わない人たちもたくさんいるわけでしょう。

なんで、そっちへ話持ってくのかなーと。
確かに、世間や本人達の常識とか何かそんなものを大事にしてるから苦しいんだ、ってのはあるだろうし、それは上手く取り除いて楽になれればいいと思うよ。でも、そうでない人達を軽視しすぎてるって感じがするんだよね。私から見れば。よっぽど数が少ないのかな。
あー、でも軽視って言葉、良くないね。それだけで、否定的な意味合いがあるからなー。言い換えると、「常識とか規範とかそういうもの由来の人達を重視しすぎてる感じがする」ってとこか。

上野 「おお,このおっちゃん,月に1回はやってはんのやな」という(笑),この程度の感想ですよ。

どうしてその程度の感想なんです?
受診する人々の中で、月一を境にして悩む人の数が多くなる、とか、そういう考えは浮かばないんですか? その可能性は小さいってことでしょうか。

問題は、月一でやりたい側と月に一回もやりたくない側との間でお互いの希望をどうすり合わせて二人の最大幸福を見出すか、だよね。
やりたい側に無条件で合わせるのはおかしいけど、やりたくない側に無条件で合わせるのもおかしかないですか、と。
いや、やりたくない側に合わせろとか、んなこと上野さん明言はしてないんだけどさ。
セックスの他に楽しみ見つけることで、やりたくない人に合わせるべきって言ってるように行間から読みとれてしまうのは妄想ですかそうですか。
他に楽しみ見つけて「月一でやりたい」気持ちを解消できればそれはいいことですよ。でも、セックスを楽しく気持ちいいものにして「月に一回もやりたくない」気持ちを解消するのも等価じゃないですか? そして、どちらにするかは当事者同士で決めればいいことで、その手助けができればいいな、っと私はそう考えたいんですけどね。

んー…実現性に差がある、か?

大川 セックスのない期間をどう決めるかというよりもセックスがないことでどちらかが苦痛を感じているカップル,とすべきだったかもしれません。精神医学での性機能障害も,それが苦痛であることが条件になっています。

ハイここ重要ですねー赤線引っ張っときましょうねー

上野 本能というものを,もしそれを満たさなければ生存が維持できないと欲求と定義すれば,

んー、この定義はちょっとおかしい気がするが…。簡単に言えば「生まれつき持ってる欲求」って私は定義してるんだけど。つまり、それを満たさなくても生存が維持できる欲求であっても生まれつき持ってれば本能。逆に言えば、それを満たさなければ生存が維持できない欲求であっても生まれつきで持っていなければ本能じゃない、と。

大川 私は婦人科医ですから,診療するのは女性に原因があって性交できないカップルがほとんどです。

って言ってるのに、

上野 夫の側の原因は少ないんですか?

大川 「未完成婚」というのを単純にインターコースができないとすると,その原因が男性側にある場合には勃起障害が一番多い。女性側に原因があるのは腟けいれんが一番多い。どっちが多いかってことは分かりません。

上野 パートナーの男性の側には問題がないんですか。

大川 いえ,そういうことはありません。

上野 じゃあ,勃起は可能なんですか。

大川 ええ。一応は可能です。全然だめだという人は少ない。

いや、質問ひとつひとつはおかしかないんだけどね。その流れはどこに向かわせたいんだよ?ってとこですよ。 うーん、違和感を持つ私の方が変かな…?

上野 もうちょっと言わせていただくと,強引というのはセックスの強要ということで,それを私たちは強姦というわけです。強姦で完成婚に持ち込むのと,うまくいかなくて未完成婚になるのと,どっちが文明的か。後者に決まっていると思う。男がマシになっただけですよ。

これは引用元のpage行って引用部の前の部分の流れを読んでいただきたいんだけど…
だけって何よだけって。だから大した問題じゃないってことですか?

上野 自分自身の体とまともに関係できないで他人の体とまともに関係できるわけがないだろう

これはいい言葉だなあ。

上野 それで思い出すのは,タンポンが出回ったときに,性教育に携わる先生方のなかで,「ああいうものを出し入れすると,女の子が腟の存在に気がついて,しかも出し入れの快感を早いうちに覚えるから,よくない」と言った方がいらっしゃるようで。

大川 ある宗教団体が私のことをブラックリストの末席に載せてるよって言われたこと,ありますね(笑)。

こえー

対談 女性のゆたかなセックスのために(下)

上野 私は笑いをこらえるのに必死なんですよ。もう,関係が死んだ相手と関係を甦らせたい,つまり不可能な問いを最初に立ててるんです。問いが間違っているんだから答えが出るはずない。私は喉元まで言葉が出かかっているんです,「相手,かえれば」って。ものすごく簡単なことですよね。

おー、ぶっ飛んでるなあ。
簡単って…
理屈は確かにものすごく簡単だけどね。実行は簡単じゃないでしょうに。上野さんはものすごく簡単に実行しちゃえるんでしょうか?
でも、重要なのは本当に死んでんのかどうかだよな。見切ったら案外簡単なのかもね。

上野 私からみたら,最初から不可能な問いを立てているように見えます。問いの枠を外せば別の答え方がでてきますよね。

それは重要でしょうね。
ただ、枠を外しても別の答えが出ない場合だってあるだろうと思うんだが、そのことを軽視してるんじゃないのかな、と。軽視かどうかの基準は人によって違うもんだけどさ。

上野 この人にはとりあえず生活保障をしてもらっているわけだから,これ以上どん欲な要求は出さないで(笑),快楽はよそで調達してこようとか,知的刺激はよそで調達してこようとか,なぜ女たちは思えないのでしょう,と私はいつも結婚している女たちをみて思ってたんだけど。

すげー…
御本人はやっぱりそう思えてらっしゃるんだろうか…。

上野 そうですね。それがまた急速に変化しているのがいまの時代です。親の世代は,ちょうど私たちの団塊の世代です。この人たちは近代家族の中産階級のモラルのなかで育ってきているから,たとえば「初潮になった」と報告したら母親が眉をひそめたとか,

えええ、これってほんとの話か? ありえねー。だって自然現象でしょ? 私の「眉をひそめる」の解釈が間違ってる?
あーいや待て待て。まさか、報告したってことに眉をひそめてる? うわどっちにしてもやべえ!

大川 セックスのダブルスタンダードから少しずつ逃れているような,ここ10年ほどで女性のセックス観も変わってきたような感じもするんだけど,ほとんど変わっていないなという部分もあって。たとえばコンドームをつけてと言えないひとって,まだまだいっぱいいますよね。

私も友達に「自分から言え」って言ったことある。もちろんそんな一言だけじゃなく、「自分を大切に云々…」とかお約束は避けて説教くさくならないように言葉を選んで言ったつもりなんだけど。

でもさ、その女性にとって「自分」よりも「相手をつなぎ止めること」の方が大切だったりしたら、これが難しいんだよね。しかも相手がダメ男だったらもう最悪。「避妊を要求したぐらいで気持ちが離れるような男なら別れちまえばいいじゃん!」ってこっちは思うけど、本人からすれば「でも好きなんだもん。そうなるのが怖いから言い出せない……」なわけで。

もちろん、そうじゃない場合でも言えない人が多いから問題なんだが。

いずれにしろ、これってセックス観よりもっと前、関係そのものに問題があるような気がするが…。

大川 楽しくやれば,楽しいことだし。少なくとも「男性のヘゲモニーと女性の沈黙」でないようなセックスができるならば。そのためには,たとえば女性が避妊はこうしてとか,こういうふうにタッチしてとか,それを言えるようになるにはどうしたらいいかな。あるいはフリをしてしまうという女性がけっこういるけれど……女性はどうして本当の気持ちを言えないのか。それをいうと男性がメゲちゃうと聞きますね。それは根も葉もない話ではなく,おそらく実態がある。
 月並みですけれど,女性がようやく言い始めて,男性がそれを受けて立てるような強さというか,考えをもってほしいな。

上野 「強さ」というと,また「いまどきの若者はひ弱で」と鬼の首を取ったみたいにいう奴がでるから,強さよりも相手に対する感受性ですよね。昔の家庭内強姦男よりも最近の若者のほうがはるかに高い感受性もつようになったからセックスレスが増えた,というのが私の観測なんです。

んー、ちょっと気になる。言葉の問題なんだけどね。
これは強さと攻撃性を混同してると思う。上野さんがじゃなくって世間にはそういう奴がいるって話だけど。
ここでいう強さってのは「精神的な強さ」だよね。じゃ、「精神的な強さ」って何さ?ってのはかなり昔から考え続けてるんだけど、大きいのは打たれ強さだってとこに落ち着いてる。
つまり、「あんたとのセックス気持ちよくない。したくない」とか言われたときに耐えられるかどうか。余裕を持っていられるかどうか。
「なっ…!!(ふざけんな! だまって突っ込まれてりゃいいんだよ!!)*1」って家庭内強姦に走るような男は打たれ弱い精神なわけで、私はそういう男に「強い」なんて言葉は使わない。攻撃性は高いんだけどね。まー、確かに男には混同する奴多いかも知んない。
「フフフ、いいねーその強気な態度……。でもそんなことはオレの知ったことじゃないんだよねー。オレが気持ちよけりゃいいんだからさ」なんて男は同じ強姦でも強い精神持ってるって言えるんじゃないだろうか。軽蔑されようが憎まれようが平気。打たれ強い。言うまでもないと思うけど、強い弱いと善し悪しは別ね。攻撃性が高いのがよろしくない。

で、強さよりも相手に対する感受性が大切ってことは激しく同意。強さが無くなったからセックスレスが増えたんだって解釈されるのは避けたいわな。だけどさ、感受性プラス強さを身に付けてくれればそれは凄くいいことだよね。

上野 その事態を規範的に判断するか,受け入れるかですよ。結婚というものはこうあるべきだとして,セックスレス理化する必要はありません。

編集部 「こうあるべきだ」とは言ってない。

わはは
いや、まあね。うん。
問題はやっぱりセックスレスの本人達二人が苦しんでるかどうかですよ。そして、それが本人達含めた世間の規範意識常識にとらわれていることによるものなのか、お互いの純粋な欲求にズレがあることによるものなのか。理化する必要はないけどさ、本人達が苦しんでるとき、「規範なんか気にしなけりゃいいじゃん」って、それで片付かないでしょ、後者だったら。

って書いてから、その後の部分読んだら言ってるよ、ちゃんと。大川さん素敵。

後は…最後の部分、コスト・パフォーマンスのところはよかったな。

おわり。

あー……
なんか、ぐだぐだーっと、みっともない書き方になったような…。
ま、いっか。たまには。*2

参考

流れで幾つか bookmarkしたので。興味があればどぞ。
http://b.hatena.ne.jp/schillasal/sexual/

*1:口には出せなかったりする。顔真っ赤。

*2:いや、いつもか?